個人事業主の方の債務整理
個人事業主の方は、抱えていらっしゃる借金の額が高額にのぼっていることが多く、会社にお勤めの方が債務整理をされる場合とは、注意すべき点など少し違います。そのため、ここでは個人事業主の経営者の方の目線に立って、債務整理の方法をご紹介したいと思います。
個人事業主の破産−自己破産
自己破産には「管財事件」と「同時廃止」という2つの手続きが存在します。個人の方が自己破産をする場合に「管財事件」となるのは、財産を持っている場合や免責不許可事由に該当する場合です。
「管財事件」の場合は、裁判所によって管財人が選ばれ、破産をする人が持っている財産について調査が行われ、調査が終われば債権者に配当を行います。同時廃止と比べて手続きにかかる時間が長く、また手続きにかかる費用も高くなります。
個人事業主が自己破産をする場合に上記のどちらになるかは、その事業の規模や持っている財産の額にもよりますが、「管財事件」になるケースがほとんどです。もちろん、資産がない場合や、その他の事情により「同時廃止」として扱われることもあります。なお、東京地裁で自己破産の手続きを行う場合は、「少額管財」という手続きになる可能性があります。少額管財は、通常の管財事件と比べて、手続きにかかる時間も費用もおさえることができます。
※少額管財等の自己破産について詳しく知りたい方は、当事務所が運営する0からの自己破産による解決をご覧ください。
保証人に迷惑をかけない方法 ― 任意整理
当事務所にご相談にいらっしゃる個人事業主の方からは、「保証人がついている業者を除いて自己破産ができるか」というご質問をよく頂きます。残念ながら、自己破産は全ての借金を申告しないといけないので、保証人がついている業者のみを除外することができないのです。
しかし、「任意整理」という手続きは、借金の整理をしたい業者を選ぶことができますので、保証人がついている業者を除外することによって、保証人に迷惑をかけることなく借金を整理することができます。
なお、任意整理とは、弁護士が直接業者と話し合って借金の返済方法を決めるもので、今後の返済については、基本的には利息をカットすることができます。
ただ、借金の額が約36回払いで返済できる程の金額でないと、任意整理をすることはできませんので、借金の額が大きすぎますと、手続きを行えない可能性があります。そのため、借金の額があまり大きくなりすぎないうちに手続きを始めることをお勧めします。
また、任意整理は、毎月一定の金額を支払っていかなければなりませんが、個人事業をやめないといけないというような制限はありません。ですから、事業を継続して借金の返済に充てるか、新たな職に就いて借金を返済していくか、どちらかをご自分でお決めいただくことになります。
※任意整理について詳しく知りたい方は、当事務所が運営する0からの任意整理による解決をご覧ください。
自己破産と任意整理に適合しない方―個人版民事再生
借金の額が自己破産をするほど大きくない場合は、任意整理を行うという選択肢があります。しかし、任意整理を行うためにはある程度経済的なゆとりがあることが必要です。
自己破産はしたくないけれど、任意整理では支払いが厳しいという方には、「個人版民事再生」という手続きがあります。
個人版民事再生とは、借金の額を圧縮し、その圧縮した金額を分割して返済していく手続きです。任意整理の場合は、借金の元本を圧縮することができないのに対して、個人版民事再生の場合は、借金の元本を圧縮できますので、任意整理よりも経済的なご負担は小さいといえます。
ただ、個人版民事再生は「一定の収入」が必要で、これからも一定の金額を返済していかなければなりません。それは個人事業から得た収入で借金の返済をしていくことも、もちろん可能です。
しかし、事業資金に充てるために借金をした場合は、裁判所は「個人事業を続けてその収入によって借金の返済をすることは難しいのでは?」という判断をする可能性があるため、一旦は個人事業を辞め、新たな職に就いて、今後の返済をされるというケースも多く見られます。
個人事業を続けながら個人再生ができるかは、個々人のケースによって異なるので、ご不安な方は弁護士にご相談いただければと思います。
※個人版民事再生について詳しく知りたい方は、当事務所が運営する0からの民事再生による解決をご覧ください。
自宅兼店舗はどうなる?
個人事業主の方のなかには、自宅の一角を事務所や店舗として使用されている方も多く、債務整理をすることで、この自宅兼事務所・店舗を手放すことになるのでは?という不安もお持ちかと思います。
その点、個人版民事再生は、申立ての際に「住宅資金特別条項」を使うことで、マイホームなどの財産を残したまま、借金の元本を圧縮し、さらに将来の利息をカットして借金を返済していくことができます。つまり、住宅資金特別条項を利用することで、自宅兼店舗を守れる可能性があるのです。
しかし、一定の基準を満たしていなければ、住宅資金特別条項を用いることはできません。具体的な基準としては、その自宅兼事務所・店舗のうち2分の1以上を自己の生活スペースとして使用していなければなりません。例えば、ある店舗を持っていて、その一部で生活をしているというような場合、住宅資金特別条項は適用されないので、個人版民事再生をしても店舗を残すことはできないのです。
商工ローンからの借り入れをしている方へ
最近は、商工ローンについてのご相談は少なくなっているものの、商工ローンからの借入れに今なお悩んでいらっしゃる個人事業主の方もいらっしゃることと思います。
商工ローンから借り入れをしていた場合には、借金返済の利率を引き下げることが一般的な消費者金融に比べて厳しかったり、訴訟を起こす必要があったりと、様々な問題点はありますが、当事務所ではそういった商工ローンへの対応にも、前向きに取り組んでおります。ですから、「商工ローンからの借入れは、債務整理ができないのでは…」と諦めず、一度弁護士にご相談ください。


